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木質繊維断熱材

最大の特長「木」であるということ

木材の細孔構造がもたらす「断熱と調湿」

「木」の細孔構造

「木材工業ハンドブック」(森林総合研究所監修,丸善)には、木材の組織構造についての詳しい説明があります。その中に、下図に示すような「木材組織拡大図」が載っています。この図は針葉樹のものですが、広葉樹でもほぼ同様な組織構造となっています。「木」の力学的(機械的)性質や特性の多くは、この上下方向に並ぶ、管状構造に由来します。

 

木材組織拡大図(針葉樹) 「木材工業ハンドブック」より

 

注目したいのは、このような目視できる構造だけではなく、下写真に示すような、顕微鏡で初めて見ることの出来る「細胞空隙構造(細孔)」です。

 

この写真は、「究極の『炭』健康法」(及川紀久雄・石原茂久共著、マキノ出版)に掲載されている竹炭の細孔の顕微鏡写真ですが、そこには次のような説明があります。

 

「木材は・・・いくら高温で焼きあげてもほとんど変わらない部分があります。それは『細胞空隙構造』、一般には『細孔』と呼ばれている孔です。」

 

 

空気を構成する分子の大きさ

空気を構成する分子の大きさを見てみます。表1に、酸素分子(O2)、窒素分子(N2)、炭酸ガス分子(CO2)及び水蒸気分子(気体の水分子)(H2O)の直径をリストしてあります。

 

これらの気体分子の直径(3~5Å)と「細孔構造の模式図」に示す細孔の大きさを比べると、ウルトラミクロ孔には分子は1個入る程度、スーパーミクロ孔には1~6個入る程度、メソ孔には6~100個程度、マクロ孔には100個以上入ります。

 

酸素分子、窒素分子、炭酸ガス分子及び水蒸気分子の直径

 

細孔構造の模式図

 

 

木質繊維に取り込まれる空気量

木質繊維断熱ボードは、平均直径0.1~0.3 mm、長さ20 mm程度の大きさの木の繊維が、写真のように3次元的な編目構造を作っています。仮に繊維の直径(0.3 mmとしたとき)は、「細孔構造の模式図」に示す細孔構造の約10万倍の大きさであり、1本の繊維に存在する細孔の数は莫大な量となることが容易に推察できます。

 

木質繊維断熱ボードの顕微鏡写真 (200倍)

 

一般に、植物繊維の細孔溶積は、0.2 cm3/g程度と報告されています。そこで木繊維の細孔容積もこの程度とすれば、直径0.3 mm、長さ20 mmの繊維1本の容積0.0014 cm3、重量0.0007 g(比重0.5として)に対して、細孔容積は0.00014 cm3 となり、1本の繊維の容積の10%を占めことになります。鉱物質ではこうした細孔は木繊維ほど十分に発達していないと考えられます。

 

 

細孔に入った空気の分子の状態

細孔に入り込んだ空気の分子は、速やかに周辺の細孔を構成する物質と熱平衡状態になって、細孔内に留まり続けます。この状態では、細孔内の分子が対流現象に寄与するとは考え難く、もっぱら、熱的に伝導と輻射に寄与することになります。

 

重要なことは、こうした細孔に取り込まれた空気の分子(水蒸気も含めて)は、“動かない”、即ち対流を起こす物質にならない、ということです。熱の伝達で、最もエネルギー移動が大きいのは対流ですから、対流が無いということは、断熱材の中に取り込まれた空気が熱移動を起こさない、即ち断熱性が向上することになります。

 

定量的には、全細孔中の空気量と繊維間に存在する空気量の検討が必要になります。繊維間に存在する空気量は、その他の断熱材と同程度と考えられますが、細孔のような構造を持つのは「木」だけに見られる独特のものです。先にみたように、細孔容積は木繊維の10%を閉めることから、細孔に取り込まれた空気の役割は無視できず、木質繊維断熱材特有の特性もたらします。

 

 

細孔に取り込まれた水蒸気

一方水分子は、気体では単分子、液体では5分子が水素結合構造を取ります(図)。気体の水分子(水蒸気)の直径(約3Å)と「細孔構造の模式図」に示す細孔の大きさを比べると、ウルトラミクロ孔には分子は1個入る程度、スーパーミクロ孔には1~6個入る程度、メソ孔には6~170個程度、マクロ孔には170個以上入ります。一方液体の水は、水素結合構造を取るため、最低でもマクロ孔程度の大きさが必要となります。液体の水が確認できる場合の水分子は1,000個程度が集合する必要があるとも言われており、マクロ孔程度でも液体となるのは難しいと考えられます。

 

液体の水分子の水素結合構造

GWやRWには無い構造   細孔に取り込まれた空気:動かない!

細孔に取り込まれた水蒸気:凝結しない!

 

 

調湿機能

木質繊維断熱材の水蒸気吸収量は最大15~17%、鉱物質繊維断熱材では最大2%であることが報告されています。これは、繊維の間や細孔に水蒸気が取り込まれた結果であり、保湿性としての水蒸気吸収量の違いは、主として細孔容積の差であると言えます(繊維間のものは大差無いと考えられます)。

水蒸気発生量(「建築技術」1990年8月号別冊より抜粋、加筆)

 

木の繊維独特の大きな水蒸気吸収効果は、優れた調湿機能を示します。例えば、木質繊維断熱材を20 m3 使用した住宅の場合、断熱材に120 L もの水蒸気量を吸収できます。この量は、1人が表に示すような生活を行った場合の1日当りの水蒸気発生量(10 L)の10倍以上、即ち10日間分に相当します。

 

一方鉱物質繊維の断熱材(密度24 kg/m3)では、同じ20 m3 を使用したとして、9.6 L の水蒸気量、即ち1日分しか吸収できないことになります。

 

H.M.Künzel、田中辰明                          レポート「WUFIを使った建築部位における 非定常熱湿気同時移動のシミュレーションから」

 

 

また、鉱物繊維断熱材(鉱物ウール)では非常に低い含水率(2%以下)で、熱伝導率が急峻に上昇することが明らかとなっています。(図から、含水率わずか0.5%程度で、熱伝導率が0.038W/mK付近から約0.07W/mKまで上昇しています。)

 

 

VOC free

 

木質繊維断熱材は、天然素材の「木」をそのままの物理的方法で繊維にして製造するので、ホルムアルデヒドやVOCの発生量が極めて少なく、シックハウス対策に最適であり、住まう人にも安心です。

 

苫小牧工場で製造された木質繊維断熱材のホルムアルデヒドの公的試験研究機関における放散速度の計測結果では、放散速度2.0 μg/(m2・h)でF☆☆☆☆に相当する値でした。

 

また、VOC放散量は、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、p-ジクロロベンゼンにおいて測定した結果、いずれも定量下限値以下(計測されない)で厚生労働省室内濃度指針値・文部科学省学校環境衛生の基準値を満たす成績が認められました。

 

木は有機物であり、特別な芳香物質を含んでいるため、VOC測定ではゼロを示すことはなく、一方VOCが有害物か否か、人為的に作られた有害化学物質かどうかの識別も簡単ではありません。しかしながら、木質繊維断熱材は、天然の木を原料としていますので、安心して使えます。

逆に注目したいのは、木の有害物吸着能力です。これは木の「多孔性」に基づく、木の優れた特質です。木は、膨大な比表面積をもち、空気中に含まれる微量ではあるが有害なVOCを容易に吸着でき、この特性は、消臭効果ももたらします。

 

「木」であることによる、即ち「細孔構造」に由来する特質としての「調湿機能」や「有害物吸収能力」等は、現状の住宅建築技術上の制約のために十分その機能を活用出来ませんが、今後、木質繊維断熱材を本格的に活用した建築技術の確立によってその真価を発揮するものと考えます。

 

 

革新的乾式プロセスによる「柔軟性と形状保持性」

Homatherm(ホーマテルム)社が開発した木質繊維断熱材の技術革新性は、「木」の性質をそのまま保ちながら、柔軟性と形状保持性の相反する特性を同居させたことです。これにより、これまでの「木材」の中で最も優れた断熱性能(高性能グラスウールと同等)を実現し、また、隙間のないぴったりとした施工性も保証するのです。

 



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