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地域づくり・地域活性化

エネルギーの地産地消による地域内経済効果

概要

「エネルギーの地産地消による地域内経済効果」とは、地域に必要なエネルギーを地域のエネルギー資源によってまかなうことで、富が地域外に流出せずに地域内に残り、地域の中で富が循環することで経済効果も相乗的に増大することを言います。

 

重油や灯油といったエネルギー資源に頼ることは、地域外にほとんどの富(お金)を流出させることになります。地域の宝「自然エネルギー」を再発見し、これを上手く活用することで、富が地域の中で循環し、地域が本当に豊かになるということが、ヨーロッパの多くの地域では現実のものとなっています。

 

 

木質資源など地域の資源を利用する事業による効果

木質資源など地域の資源を利用することによって、地域の中でどんな効果が得られるのかを示しました。地域の燃料工場で主に林地残材を原料としてチップやペレットなどを生産し、家庭または大量に燃料を必要とする施設、例えばプールや温泉施設などで利用することで、様々な新たな効果が生まれます。

 

燃料の生産工場だけではなく、原料の運搬や、ガソリンスタンドなど化石燃料販売に代わる木質燃料の小売りや配達など地域に新たな仕事が生まれ、地域内で経済が循環します。また計画的な木質資源の利用と木質燃料の安定供給により、チップやペレットの価格は安定し、世界情勢に大きく左右され高騰する可能性の高い原油価格に、地域の産業が影響を受けることもなくなります。

 

 

現実は・・・・・・・・・・・

しかし、現状はというと、地域外に燃料代が流出する構造になっています。私たちが利用する燃料のほとんどはこのように遠くから輸入される化石燃料で、石油に支払う燃料代のほとんどが地域外(最終的に産油国)に流れていきます。

 

 

実際にどれくらいのお金が、燃料代として地域外に流出しているのか、ということの一つの例を示します。昨年度、弊社で、道内の全市町村を対象に、重油を使用する各自治体の公共施設での重油の年間使用量についてのアンケート調査を行いました。回答が得られた55市町村(全179市町村のうち約3割程度)の公共施設での重油の使用について、重油価格を1リットル当たり80円として年間の燃料費を算出しました(下表)。

 

道内全市町村の公共施設の3割程度でも、合計は192千万円にものぼっています。道内の全ての公共施設での重油使用料は、推計で年間260億円にものぼります。ちなみに日本の化石燃料の輸入額は2008年で23兆円です。

 

今、ようやく自然エネルギーと省エネルギーを推進する動きが高まっていますが、自然エネルギー資源の豊富な地域では、エネルギー自給を高めることで、外に出ていた資金を域内にとどめて、地域を豊かにすることができるということを多くの人が実感できればと思います。

 

 

海外事例

ヨーロッパのオーストリアのギュッシングというところで、木質バイオマスを中心とした自然エネルギーの利用と化石燃料からの脱却により地域内経済循環を実現させています。19801990年代前半まで、ギュッシング市には鉄道や高速道路もなく、住民の多くは平日都市部に出稼ぎに出るというような貧しい地域でした。農業は廃れ、森林はあっても林業はない、というような状況でしたが、1992年に市長が化石燃料からの脱却を提案しました。

 

地元産のエネルギーを使えば、地域外に流出していた資金が地域内で循環するようになり、しかも安定した安いエネルギー供給が可能になれば、企業誘致や人口増加につながる、というアイディアです。太陽熱温水器や木質チップ焚きボイラーを利用した地域熱供給をはじめ、大学研究グループと連携し、木質やその他のバイオマスを原料にBTL製造やガス化利用も行っています。2009年にはギュッシング市の再生可能エネルギー比率が98%に到達、温暖化ガスの排出量は95%削減されるに至っています。

 

 

ギュッシング市の経済状況の移り変わりについて、1991年と2005年の段階を比較しています。2005年にはエネルギーにかかる域外流出はほぼ無くなり、域内で循環する額が、91年に65万ユーロだったのが、2005年には1,360万ユーロになり、これにともない市の税収入は3倍になり、さらに1,100件以上の新規雇用が生まれたということです。年間約4万4千トンもの木質バイオマス燃料を利用するに至りました。この他にもヨーロッパには自然エネルギー普及によって地域が豊かになったという様々な事例がいくつもあります。日本の地方の町や村における少子高齢化・人口減少・経済の衰退といった現状も、このように10年程度で変える事ができるかもしれないということを示唆しています。

 

 

A市が目指す地域内循環

林地残材の燃料化利用を目指している道内のA市で、私たちは、林地残材の収集からチップ燃料の製造・利用という一連の実証試験を行いました。市では現在重油を使用している市有施設に、チップボイラーを入れることを計画しています。昨年度の試験結果から、チップの単価がトンあたり16,000円(非常に高い価格)でも、市有施設での燃料費の節約になりますし、もちろんチップ製造工場の事業経済性も成立しています。

 

市有施設では実に年間6,300万円の重油代のほとんどが地域外に流出していますが、木質燃料に変えることで1,000万円の燃料費削減、さらに燃料取扱店、チップ製造業者(燃料工場)や林地残材調達業者のそれぞれにおいて雇用を確保し、尚且つ収益をあげることができます。新たな仕事が市内に生まれ、地域内経済循環により地域が豊かになるという展望が示されました。

 

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