Home  » 産業財産権  »  SRSEについて – バイオマスで夢のエンジンを実現

産業財産権

SRSEについて – バイオマスで夢のエンジンを実現

スターリング・エンジンとは

スターリングエンジンは、シリンダー内のガスが加熱と冷却で移動することにより、シリンダー内のピストンを動かしクランクを回転させる原理となっています。
大きく一つのシリンダーによるディスプレーサー型と、2つのシリンダーが約90度の角度でL型(もしくはY型)に配置されるL型の2形式があります。

 

スターリング・エンジン開発の歴史

1815年 :イギリス人牧師ロバート・スターリングによって発明される。
1850年代:スウェーデン人発明家兼技術者ジョン・エリックソンが実用的スターリングエンジンの製作に成功。
1930年代:オランダ・フィリップス社ロエルフ・マイアー博士が研究開発。数百馬力のスターリングエンジンと、それを取り付けたバス等の試作に成功。
1960年代:スウェーデン・ユナイテッドスターリング社及びドイツ・MAN社が共同提携し技術を進歩させる。

1973年 :第一次オイルショックが起こり再び脚光を浴びる。
1975年 :一色博士がスターリングエンジンの開発をスタート
1982年 :ムーンライト計画の一環として、我国のスターリングエンジンの開発計画がスタート
1998年 :一色博士、足利工大牛山教授らが「スーパースターリング研究会」を発足させSRSEの開発に着手

 

SRSEの原理

東京工業大学名誉教授の一色尚次博士が考案した、作動気体に蒸気を用いたスチーム・ランキン・スターリング・エンジン(略SRSE)です。
一色博士の技術供与と全面的な指導・協力を得て、平成19~20年度「新エネルギー技術開発/新エネルギーベンチャー技術革新事業(NEDO)」の採択を受け、試験機の開発に成功しました。

蒸気ハイブリッド・スターリング・エンジンの原理

 

SRSEは、原理的には蒸気機関と同じランキンサイクル注1)で運転されます。SRSEには、シリンダと吸排気バブルの間に蒸気が通過する蓄熱部(リジェネレータ)があります。このリジェネレータはスターリングエンジン特有の機構です。

リジェネレータは、通過する排気蒸気の熱を蓄積し、次に給気する蒸気を加熱することにより、熱を有効に利用します。また出力(パワー)シリンダを外部より加熱します。この結果、SRSEの出力には、蒸気機関(ランキンサイクル)の出力に、リジェネレータと出力(パワー)シリンダ加熱の効果によるスターリングエンジン特有の出力が加わります。

注1)ランキンサイクル (Rankine cycle) は、非可逆熱サイクルの一種で、蒸気機関の理論サイクルです。蒸気機関には、蒸気をシリンダに導き、ピストンを動かして往復運動をさせるレシプロ機関型のものと、蒸気で羽根車をまわすタービン型のものとが存在します。

 

SRSEの特長

エンジン本体

試験機による運転試験

 

蒸気ハイブリッド・スターリング・エンジン

ボイラーで発生した蒸気をスターリングエンジンに導入した、蒸気機関とスターリングエンジンを組み合わせたハイブリッドのスターリングエンジンです。
蒸気を介した発電により、安定に確実に動作し、連続運転可能であり、制御性が向上しています。

 

低温動作

SRSEの加熱温度は400~600℃であり、バイオマス等の低品位熱源の利用が可能です。

 

通常金属使用による低コスト化

SRSEは低温・低圧で作動するため、加熱部材質は特殊金属を必要とせず、通常金属(ステンレスや銅)の使用が可能となり、また、加工も容易であり、製造コストの低減につながります。

 

低圧容器・開放構造

SRSEの供給圧力は10気圧以下のため、低圧容器の使用が可能です。また、開放構造のため圧力容器の指定を受けず、作動気体も蒸気であるため、制約が少なく扱いが容易となっています。
この低圧容器・開放構造により、小型化、軽量化、低コスト化、高圧シールフリーを実現しています。
高圧容器の場合、容器の容積や重量が増加し、また、高圧シールの耐久性も悪化しやすいため高価になります。

 

小型・軽量化

SRSEは小型・軽量化を実現しており可搬が可能です。

 

Zクランクについて

Zクランクは、斜板クランク機構注2)の一種で、斜板の揺動運動をピロボール注3)付きコンロッド注4)でピストンを上下させ、コンロッドが揺動運動することによって、ピストンが直線運動をするようになっています。
斜板機構は、ピストンに平行な回転軸をもつ回転斜板(スワッシュプレートSwash plate)により複数のピストンを駆動する機構で、主にダブルアクティング型エンジン注5)に使用されます。複数のピストンが軸対称に配置されているため、すべてのピストンは常に慣性力が釣り合っていて、そのため、エンジンバランス性に優れ、クロスヘッド機構注5)に比べ小型化が可能になっています。

 

Z-クランク機構

注2)斜板クランク機構(スワッシュプレート機構)は,出力軸に傾斜させた円板(回転傾斜板)を取り付け,それにシューを介してピストンを往復運動させる機構です。円周上に4本のピストンを配置すれば,隣り合うピストンに90度づつの位相差を保つことができます。小型化が可能なため,高性能・高出力なスターリングエンジンに用いられています。

注3)ピロボールは、小さな容積で大きなラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を同時に負荷できる自動調心形の球面滑り軸受です。ピロボールロッドエンドは本体にめねじ又はおねじが加工されているので、取付けが容易です。工作機械、繊維機械及び包装機械などの制御機構や、リンク機構に使用されています。

注4)コンロッドとは、正式名称コネクティングロッド(Connecting-rod)の略で、ピストンとクランクシャフトを連接する部品のことです。ピストンの運動をクランク棒に伝える役目をします。上下運動と回転運動の間にある複雑な運動をするため、コンロッドの断面に工夫が必要です。

注4)ダブルアクティング型(スターリング)エンジンは4シリンダで構成されています。隣り合うピストンの上面と下面の空間を,熱交換器を介して連結することで,作動空間は通常のα形スターリングエンジンの4基分(8シリンダ分)に相当します。エンジンの小型化が可能であり,高出力エンジンに適した形式です。

ダブルアクティング形エンジン

クロスヘッド機構

 

注5)クロスヘッド機構の構成は上図(右)の通りです。大型エンジンのピストンスカート部は、摩擦による温度上昇が原因で焼き付きを起こす恐れがあるため、小型エンジンのようにシリンダと油膜を介して接触させることはできません。そのため、サイドスラストを軽減させるために、ピストンの下方にもう1つピストンシリンダ機構を設けます。この機構を「クロスヘッド機構」と呼んでいます。

この機構は、大型の船舶用ディーゼルエンジンなどで実績があり、信頼性が高いのですが、クロスヘッド部での機械損失が大きいことと、エンジンが大型化してしまうなどの欠点があります。

 

欧州で実用化されているスターリングエンジン

項目 効率促進要因 構成要素 問題点
内部圧力 高圧 高圧容器(数100気圧) 

密閉構造

高価、容積・重量の増加 

高圧シール耐久性悪化

作動気体 低分子気体 

低引火性

空気<窒素ヘリウム 

水素不可

高価、産地制約(米国)
加熱部 高温 (超)耐熱材料 高価、加工性悪化

 

蒸気ハイブリッドスターリングエンジン

項目 仕様 構成要素 効果
供給圧力 10気圧以下 低圧容器、開放構造 安価、小型化、軽量化、シールフリー
作動気体 蒸気 安価、制約少
加熱部 600℃以下 一般材料 安価、加工性良好

 

適用分野

・製材所等従来からバイオマスボイラーを使用している事業所等
・豊富なバイオマスが不遜する東南アジアなどの開発途上国での利用
・温室・入浴施設・窯業者・焼却炉等々の排熱からの発電
・小規模バイオマス用コージェネレーションとして分散利用

基本仕様

加熱温度(℃) 400~600
内圧(気圧) <10
出力(kW) 3
作動気体 蒸気
寸法(mm)
重量(kg) 50

 

ページトップ